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事務所 訪問

2021年04月号

塚田高三税理士事務所 写真

親身で丁寧な顧問先支援を貫き
その精神を次代へと引き継ぐ

30年以上にわたり国税局や税務署の業務に携わった後、現在の事務所の所長となった塚田 高三先生。 以後、顧問先の元に足しげく通い、丁寧にコミュニケーションを重ねるスタンスで数多くの地場企業に寄り添ってきたといいます。 これまでの歩みと現状、新たな人材を迎えての今後の展望について伺いました。

手探り状態で始まった所長としての業務

塚田先生はもともと、札幌国税局や北海道各地の税務署の職員として長らく働いていたそうですね。

塚田 高三所長(以下、敬称略) 30年以上にわたって国税局や税務署の業務に携わってきました。札幌国税局の調査官としてさまざまな大型事案を担当した他、変わったところでは「営繕」という係にも6年間いました。これは税務署の宿舎などさまざまな関連建築物を修繕・増築するための担当窓口で、建設事業者の入札を取り仕切るなど特殊な業務を数多く経験することができました。

その後、現在の事務所の所長となられたのですね。前任の先生が亡くなり、その後を継がれたと伺っていますが、業務の引き継ぎもなくご苦労されたのではないでしょうか。

塚田 私に「所長になりませんか」と声を掛けてくれた事務長が事務所の運営面を取り仕切っていたので、その点については心配ありませんでした。が、当時6人ほどいた職員たちに対してはかなり気を遣いましたね。なんといっても長年、国税側の人間だった私にとって、税理士としての実務を行うのはその時が初めてです。税務署とのやりとりに携わっても、すぐに顧問先対応や日々の細かな業務などができるわけではないのでまさに手探り状態、教わることのほうが多かったように思います。一方で職員からすれば、"所長"が代わるわけですから戸惑うのは当然です。最初の数年は、お互いに気を遣い合っていたように思います。私自身が仕事を覚えて顧問先を積極的に増やしていったのは4年目くらいの頃からでした。そのあたりから顧問先数・売上げともに伸び、新たに職員も加わって事務所の規模も拡大していったのです。

親身で丁寧なやりとりが顧問先サポートの基本

当初から掲げている事務所のコンセプトや特長、顧問先サポートにおけるこだわりなどがあれば教えてください。

塚田 正直なところ、明文化した理念のようなものはありません。ただ、顧問先とのやり取りに際してはなるべく足しげく顧問先を訪問し、社長や事務員の方たちとじかに顔を合わせ、とにかく親身に相談に乗ること、話を聞くことを当初から心掛けました。特に先方の経営者とは税務、財務のことだけでなく、国税時代の経験や時事ネタ、日常の雑多なことなどいろいろと会話をし、コミュニケーションを密に重ねました。顧問先の安心と信頼につながると信じてそうした姿勢を貫いたところ、税理士自身が細かく顧問先の元に足を運んでいる事務所が少なかったのか、地場企業の間で「うちの税理士先生は足しげく訪問し、相談に乗ってくれる」と話題になり、口コミで自然と顧問先が増えていきました。おかげさまでこの20数年、息長く付き合ってくださっている顧問先がほとんどです。また、地域の他の事務所の先生が高齢で後継ぎもいないからと、数十件の顧問先を当事務所で引き継いだこともあります。

長年お付き合いのある顧問先が多いとのことで、やはり近年では事業承継などの相談が増えていますか。

塚田 おっしゃる通り、ここ10年ほどは相続に際しての自社株対策など、事業承継関連の相談が非常に多くなっていますね。2018年度の税制改正で新しい事業承継税制が始まり、後継者が相続や贈与で引き継いだ自社株に関する相続税・贈与税の納税猶予が認められるようになった時には、早速いくつかの事案で札幌国税局に申請を出しましたし、以後も納税猶予の手続きは増えています。

ごく最近でいえば、コロナ禍の影響で企業の倒産や廃業が全国的に増加しています。顧問先の状況はいかがですか。

写真1

各年代の職員が働くオフィスです

塚田 意外に思われるかもしれませんが、コロナ禍による倒産・廃業は今のところほとんどありません。というのも国や自治体、金融機関の各種支援策のおかげで補助金を得たり資金を借りられたりできるからです。これは良いことではあるのですが、本当の危機を先延ばしにしているだけという見方もあります。もちろん、ウィズコロナに対応するべく今のうちから業態転換や新規事業の創出などを図っている企業、コロナ禍が収まれば元の通り売上げを取り戻してやっていける企業は何の問題もありません。しかし中には、コロナ禍の金融支援で何とか生き延びているものの、その後の展望がなかなか描けていない企業もあるかと思います。そうした企業が2年後、3年後にどうなってしまうか、倒産・廃業が一気に増えてしまうのではないか、私はそれが心配です。

 税理士の立場からは顧問先企業それぞれの経営の最終判断にまで口出しはできませんが、日頃から社長とコミュニケーションをとる中で、それとなく先行きについてどう考えているかをヒアリングするように心掛けています。

新たに税理士を迎え入れ次代にバトンを渡す

長年にわたり顧問先と伴走してきた塚田 高三先生

長年にわたり顧問先と伴走してきた塚田 高三先生

事務所の現在の体制や今後のことについて伺いたいと思います。所員数は今どのくらいになっていますか。

塚田 私を含めて16人です。年齢層は私ともう1人70代がいて、その下に50代が1人、後は20~30代の若手といった感じです。

昨年7月から、新たにもう1人、税理士の方が加わったそうですね。

塚田 新しく税理士を迎え入れようと考えたきっかけは、事務長が一昨年に亡くなったことです。彼は事務所の運営全般の他、職員教育も担ってくれていました。これからも二人三脚でやっていこうと思っていたので、彼の亡き後は非常に心許なかったですね。そこで、私のサポート役、また次代の事務所を担っていく人材を探したところ、鈴木 直人先生に巡り合えたのです。

今日はその鈴木先生にもご同席いただいています。鈴木先生、事務所に加わった経緯をお聞かせください。

次代を担う鈴木 直人先生

次代を担う鈴木 直人先生

鈴木 直人先生(以下、敬称略) 私も塚田先生同様、札幌国税局や道内各地の税務署で30年以上働いてきました。「地場企業に寄り添ってその税務・財務、経営をサポートしたい」という思いからいずれは独立をと考えていたところ、実家が釧路市にあるという事情もあって塚田先生に声を掛けていただき、入所することになったのです。

事業承継に向けて、お二人でご準備を進めている状況ですか。

塚田 まだ鈴木先生に来てもらってから日が浅いので、そのあたりはまず様子を見ながらじっくりと時間を掛けてやっていきます。事務所の方針や顧問先支援のあり方などについては、基本的には鈴木先生が思う通りに、やりやすい形で進めてもらえればと考えています。

鈴木 塚田先生はそうおっしゃってくれていますが、先生がこれまで数多くの顧問先企業の元に地道に足を運び、丁寧に接してきたことはかけがえのない財産です。その精神をしっかりと引き継ぎ、地場企業に貢献していきたいと考えています。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

 塚田先生は小樽市生まれで、もともと釧路市には縁がありませんでした。ところが、釧路税務署に4年ほど勤務した時に現在の事務所の事務長と税務調査を通じて知り合って交流を深め、時を経てその事務長から声を掛けられたのがきっかけで同事務所の所長になったそうです。その際、もともと税理士として独立して個人事務所を立ち上げようとは考えていなかった塚田先生は、「このまま国税の仕事を続けるか、辞めるか」と大いに迷ったそうですが、「自分を信用して声を掛けてくれた事務長の想いに報いよう」と決意し、進む道を定めました。それから約22年、今また新たな人材として鈴木先生が加わり、次代を担っていくことが期待されています。

塚田高三税理士事務所

所在地
北海道釧路市鳥取北4-5-26
TEL
0154-51-9788
設立
1998年
職員数
16名

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