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事務所 訪問

2021年12月号

旭日税理士法人 写真

「税理士の業務を上回る」サービスで
顧問先の経営支援ニーズに応える

一社一社に対する丁寧な経営支援が地場企業経営者から好評を得て、これまで100%口コミで顧問先を増やしてきた旭日税理士法人。近年は企業同士のマッチング支援に力を入れている他、業務の広域展開や次代を担う人材の採用、こだわりのオフィスの新設など、 持続可能な事務所経営を見据えた取り組みを次々と実践されています。

一歩先を見据えた経営支援を徹底

まずは貴法人における顧問先支援のコンセプトをお聞かせいただけますか。

桑畑 弘道代表社員(以下、敬称略) 事務所設立時から一貫して重視してきたのは、何より「従来の税理士の業務を大きく上回る」サービスを展開することです。特に顧問先の持続的発展のための経営支援に力を入れてきました。 例えば先日、コロナ禍前まで順調に店舗を増やしていた美容室経営者と決算の打ち合わせをしていたのですが、事前に電話で話した時には「このコロナ禍でこれまでの事業拡張が裏目に出て赤字がかさみ、先行きが見えない」と暗い声で不安を漏らしていました。

 そこで、私は少しでもその不安を解消しようと、同社が今後どのような方向性で事業を継続していくべきかを具体的プランとしてまとめておきました。そして打ち合わせ当日にそれをプレゼンしたところ、幸い、彼はそのプランを実践して現状を乗り切っていくことを決意し、「希望が見えてきた」と笑顔を見せてくれたのです。通常、決算の打ち合わせでは過去の経営数字をもとにした現状報告がメインですが、それでは顧問先が窮状を脱する助けにはなりません。常に相手の状況をみて、一歩先を見据えたアドバイスやサポートを行うよう心掛けています。

木のぬくもりと瀟洒なデザインが印象的なオフィスです

木のぬくもりと瀟洒なデザインが
印象的なオフィスです

経営革新等支援機関としての顧問先支援も積極的に行っているそうですね。認定制度がスタートする2012年以前から準備を進め、東北でいち早く経営革新等支援機関として認定を受けられたと聞いています。

桑畑 認定を受けて以来、この約10年の間にさまざまな事業再生や業務改善の案件に携わってきましたが、その中で強く実感したのは、経営革新等支援機関としての活動こそ税理士の本分だということです。中小企業の経営者との距離が近いこと、そして経営数字を把握する立場にあることが税理士最大の強みですから、その強みを生かしてどのような支援を行っていくかが大事です。

 当法人ではそうした考えの下、これまで培ってきた広範なネットワークを活かすとともに、日本税理士会連合会の「担い手探しナビ」(※)なども活用しながら、顧問先同士のマッチング支援に注力しています。特にこのコロナ禍にあって従来型のビジネスが立ち行かなくなり、思い切った事業転換や事業再構築が求められる中、異業種同士の連携で新しい価値を生み出す動きを少しでも後押しできればと思っています。

※ 担い手探しナビ......中小企業の事業承継における後継者不在が全国的に大きな課題となる中、日本税理士会連合会が2018年10月に立ち上げた、税理士主導による中小企業M&Aのためのプラットフォーム。全国の税理士が顧問先企業の承諾を得た上で、ウェブサイト上で事業承継にまつわる案件登録や検索、問い合わせ対応を行うことができる。

多拠点化でリスクを分散し新サービスにも挑戦

税理士が果たすべき役割の拡大に取り組む桑畑 弘道先生

税理士が果たすべき役割の拡大に取り組む
桑畑 弘道先生

ここ数年、進めてこられたという広域展開に向けた動きについてもお聞かせください。

桑畑 当法人の拠点は、以前は仙台市内の2拠点と東京事務所のみだったのですが、11年3月の東日本大震災を機に、災害などで業務がストップした時に数多くの顧問先に迷惑をかけてしまうリスクの大きさを痛感し、複数拠点でリスク分散を図るとともに、顧問先ネットワークの拡大を目指してきました。そしてコロナ禍で広域展開への思いがさらに強まり、ついに念願が叶ってこの秋、石川県金沢市と愛知県北名古屋市、福島県いわき市に、それぞれの地域の事務所にグループに加わってもらう形で新たな拠点を設けることができました。

複数拠点間の連携状況はいかがでしょうか。

桑畑 昨年から一気にリモートツールが普及したこともあって、各事務所の職員同士のコミュニケーションやデータのやり取りなどは非常にスムーズです。

広域展開にあわせて、関連会社も立ち上げたそうですね。

桑畑 旭日税理士法人を中心としたグループ全体の付加価値を高めるため、新たに(株)あさひプラスを立ち上げました。同社では主に顧問先情報の管理や記帳代行などを担うことで、本体の旭日税理士法人の税務・経営支援業務を支えています。また、税務サービスの工程管理や効率化にも取り組んでおり、そのノウハウを顧問先の地場製造業者などに提供するサービスにも着手、製造工程の見える化や効率化、均質化などの品質管理コンサルティングが好評を得ています。

ぬくもりある新社屋で理想の中小企業支援を実践

広域展開や業務拡大といった新しい動きに加えて、今年8月にはオフィスも新設されましたね。重厚でありながら温かみのある木造建築で、一見するとオフィスというより邸宅といった雰囲気の外観で驚きました。

旭日税理士法人の元気な新人たち

桑畑 仙台市内の2拠点を1カ所にまとめて新社屋を建てるにあたっては、従来の税理士事務所の堅苦しいイメージをくつがえしたい、お客様も職員も心地よくリラックスして過ごせるような空間にしたいと考えていました。そこで、名取市の住宅展示場で出会った(株)四季工房に依頼し、国産の無垢材と漆喰など自然素材で統一されたぬくもりあるオフィスをつくってもらったのです。おかげで職員たちは皆くつろいだ気分で仕事ができています。と同時に、彼らがより効率的に動けるようICTシステムの導入も徹底しており、壁一面のモニターで各拠点とも日常的にミーティングができるようにしています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

桑畑 中小企業の経営環境にまつわる課題が複雑化している現代にあって、税理士はさまざまな専門分野に精通した方たちとタッグを組むことで対応力を高めていかなければなりません。そうした意識で人材採用やネットワーク拡大を着実に進めてきたかいもあって、私たち旭日税理士法人グループには税理士のみならず弁護士事務所、社会保険労務士事務所も併設し、密な連携体制を構築することができています。今後はこうした体制の下、ワンストップで多彩な税務・財務・経営支援ニーズに応えるのはもちろん、さらに歩を進めて、顧問先の課題や事案について複数の専門家たちがそれぞれの目線で議論し合えるような場、いわば中小企業経営支援のためのコンサルティングファームをつくっていきたいと考えています。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします

税理士までのあゆみ

九州・熊本出身。大学進学時に東京へ出たという桑畑先生。「何かしら手に職をつけて、地域経済に貢献したい」と漠然と考えていたところ、税理士をしていた先輩に「それなら、中小企業の経営を下支えする税理士を目指してはどうか」と言われ、資格取得を目指すことに。大学4年次には、国税3法を含む5科目一括受験し、3科目合格。大学卒業後、体調を崩して入退院を繰り返しながらも勉学に励み、1994年に税理士資格を取得、翌年3月に税理士登録を果たされました。そして東京都新宿区の公認会計士林徳一事務所(現・大光税理士法人)で約9年間働いた後、2000年に奥様のご実家である川口誠一税理士事務所のある宮城県仙台市へ。「ゼロから勝負したい」という思いでまずは個人事務所を立ち上げて地域に基盤をつくり、その上で03年、川口誠一税理士事務所とタッグを組んで旭日税理士法人を設立されたそうです。

旭日税理士法人

所在地
宮城県仙台市宮城野区宮城野1-18-10
TEL
022-295-0092
設立
2003年
職員数
51名(グループ全体)
URL
http://www.asahi-tax.or.jp

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