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動画のビジネス活用最前線

ビジネスシーンで動画の活用の幅が広がっています。今や企業ホームページのトップを飾るのが動画コンテンツのことも多く、近年、動画は多様な業界で自社商品・サービスのプロモーションや顧客の獲得、社員教育などに向けて活用されています。そこで本特集ではビジネスシーンにおける動画活用の最新動向について、動画配信プラットフォームサービス「ULIZA」などを手掛ける(株)PLAY取締役の宮原 耕介氏にお話しいただきます。

動画のビジネス活用最前線

©️Irina Danyliuk/shutterstock.com

宮原 耕介 氏

株式会社PLAY
取締役 ビジネス統括部長

宮原 耕介 氏

コロナ禍を機に動画活用が急拡大

 ここ10数年、スマートフォン(スマホ)やタブレットの普及で場所を問わず動画を視聴できるようになったこと、SNSでの動画視聴が定着したことなどを背景に、動画コンテンツビジネスの市場は急拡大しました。ほんの数年前まではビジネスシーンで動画を活用する動きは限定的なものに留まっており、当社の動画配信ソリューション事業においても、2019年まではテレビ局などのメディア企業からの依頼が大半でした。他にはeラーニング用動画の需要があったくらいです。

 これがさまざまな業界に広がった契機は、コロナ禍で生活様式や働き方が大きく変わった頃からでした。

PLAY社内の様子。同社では動画配信プラット
フォーム「ULIZA」や数々の動画配信サイトの
システムを手掛けている他、自社内で複数の
スタジオも運営している

これは感染拡大防止のために商品・サービスの発表イベントやセミナー、社員研修、社内表彰式、株主総会などがリアル開催できなくなったことで、数多くの企業がそれらを動画で代用しようと考え、そのコンテンツの制作や配信のニーズが一気に高まったためです。当社にも動画制作・配信に対する知見を備えた従来の主要顧客とは違う、「カメラを触ったこともない」「ネットは苦手」という方からの依頼が相次ぎ、「動画コンテンツの企画から制作現場のディレクション、撮影、編集、そして配信システムまで丸ごと任せたい」という依頼も増えていきました。こうした動きに対応するため、当社ではここ数年で動画制作・配信の初心者にも分かりやすいようなプランをホームページ上に提示したり、自社スタジオやレンタル機材、撮影技術スタッフの拡充などに努めてきました。



ウェビナーは会員限定の疑似ライブ配信が主流に

 こうして大きく裾野が広がったビジネスシーンにおける動画活用ですが、その役割は大きく「オープンに配信する動画」と「クローズドに配信する動画」の2種類に分けられています。

 まず、前者は広くプロモーションを行うために誰でも視聴可能な形で配信するタイプの動画で、手軽に撮影・編集ができるようになったこともあってYouTubeには商品やサービスの紹介動画があふれかえっています。

 一方、後者は社員向けや会員・登録者向けに特定のウェブサイトだけで配信する動画です。ここ最近、ビジネスシーンでの動画活用事例としては特にSaaS系サービス※の提供事業者を中心にこのタイプの動画が注目されており、サービスの特徴やサービス導入手順に関する動画、サービスをどうビジネスに活用するかをテーマとしたオンラインセミナー(ウェビナー)動画などが増えています。前述の通り、当初はコロナ禍でリアル開催ができないため、仕方なくオンライン動画で代用する形が多かったのですが、今では最も効率的な発信手段として定着した感があります。

※ クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネット経由でユーザーが利用できるサービス

 例えば、社員教育や人事制度の構築・運用などに関するサービスを手掛けている(株)あしたのチームは、自社のホームページに「失敗しない人事評価の運用方法」「給与ってどう決めたらいいの?」といった経営者や人事担当者が気になりそうなテーマの動画コンテンツを作り、営業ツールとして顧客獲得に活用しています。ポイントは、収録した動画を予告した日時にだけライブ配信のように流すこと。私たちはこれを「疑似ライブ配信」と呼んでいます。いつでも見られるのではなく日時を決めての配信となると、多くの人がその動画の視聴をスケジュールに加えてくれます。この疑似ライブ配信用の動画を1本作れば、定期的に配信することで効率よく顧客獲得のための営業を行うことができるのです。

接続の安定性や安全性に要注意

 こうしたクローズドな動画配信においては、その配信の質や技術が問われます。最も注意しなければならないのが、接続の安定性です。極端な話、「サーバーに動画をアップロードし、視聴してほしい人(会員や社員など)にそのURLを送る」だけなら自社で行うことは可能です。ただその場合、多数の人が同時接続・視聴できなかったり、スマホで見ている人だけ通信料の負担が多くかかってしまうといった問題が起こりえます。ですから、数十人以上に向けて動画を配信する場合は、その規模の同時接続に耐えることができ、端末の種類に応じた容量で配信可能なシステムを利用するべきです。



 同様に安全性、つまりセキュリティー面にも配慮しなければなりません。アクセス数を管理するための認証を厳密にしたり、指定したウェブサイト以外では再生できない設定にしたり、動画を再生できるURLを生成する際に視聴期間を設けるなど、細かな対策が必要です。この点からもクローズドな動画配信を行う際には、動画配信サービス事業者のプラットフォームを利用したほうがよいと言えます。



 また、動画配信後に視聴分析を行うことも重要です。再生回数/視聴ユーザー数/タイトル別ランキングなど視聴動向だけでなく、「コンテンツの再生時間における視聴数の推移」「時間別や日別の再生開始数」「カテゴリごとの再生開始数」「都道府県別、市区町村別の再生開始数」など、細かなデータを分析すれば、その後の情報発信や集客、マーケティングに活かすことができるでしょう。

 動画配信に関する最新動向を解説しましたが、最後にお伝えしたいのは、「まず実際に動画を作ってみるのが大事だ」ということです。前述の通り動画を制作すること自体は非常に手軽になり、iPhoneがあれば動画撮影も編集もできますし、YouTubeには撮影や編集のさまざまなコツや機材の使い方などを解説した動画が数多くアップされています。そもそも、Zoomなどで行ったオンラインセミナーやオンライン研修を録画するだけでも十分な動画コンテンツになるので、まずは手軽に作ってみて、それを着実に届けたい層に届けるにはどうするべきかを模索していくのがよいと思います。

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