中国会企画
2022年05月号
瀬戸内海のさまざまな生きものに出会える
中国地方最大級の「宮島水族館」
宮島(広島県廿日市市)といえば、世界文化遺産・国宝・日本三景の「嚴島神社」が日本を代表する名勝地として 有名ですが、実はもう1カ所オススメの観光地があります。嚴島神社のすぐ近くの「宮島水族館(みやじマリン)」がそれです。 「いやし」と「ふれあい」をコンセプトにした参加・体験型の水族館ならではの展示・コンテンツの魅力と2021年夏にオープンした 新エリア「はつこい庵」などのスポットについて、同館経営課主査・学芸員の赤木 太氏にご紹介いただきました。
瀬戸内海の特色を伝える〝瀬戸内海まるごと水族館〟
世界遺産の島、宮島に立地する宮島水族館は景観に配慮した和風建築の水族館です。「いやし」と「ふれあい」を基本理念に水の生きものをより身近に感じられる参加・体験型の水族館を目指しています。
当館は瀬戸内海国立公園内にある水族館として、瀬戸内海を中心に380種、1万5000点以上の展示生物数を誇り、10のテーマに分けて瀬戸内海の世界などを紹介しています。宮島の干潟や廿日市市の上流から河口域までの里山風景を再現したり、カキいかだを出現させたりと、生態を表現する展示方法がユニークかつ分かりやすいと評判です。海獣エリアではペンギンをはじめ、トドやアザラシ、コツメカワウソなどの動物を展示しており、野外のライブプールでは毎日アシカのライブを開催しています。大型水族館や都市型水族館とは一味違った特徴・魅力を持つ中型水族館として、多くのリピーターや地元の皆様に親しまれています。
ところで、宮島水族館には「みやじマリン」という愛称がありますが、これは2011年のリニューアルに際して一般公募で選ばれたものです。世界遺産の「宮島」と瀬戸内海の「海」に隣接する水族館というイメージにマッチし、親しみやすく覚えやすいということで選ばれました。
そんな宮島水族館の前身は1959年設立の広島県立水産資源研究所です。その後、旧宮島町に移管され、2005年には廿日市市との合併により宮島町立宮島水族館から宮島水族館に改称。さらに11年に大規模リニューアルを行い、瀬戸内海をテーマにした水族館としてグランドオープンしました。なお、グランドオープンからこれまでの来場者数は500万人以上となっています。
新エリア「はつこい庵」オープン「いやし」をもたらす「美の鑑賞空間」
21年8月、宮島水族館に新エリア「はつこい庵」がオープンしました。水源豊かな廿日市市の佐伯地域で育てられた錦鯉や金魚などが展示され、名勝・宮島を意識した美しい「和」のデザインが印象的な癒しの空間になっています。また、映像や音響を組み合わせた演出、球体や屏風形などさまざまな形の水槽も注目されています。
鯉を中心とした展示施設は日本国内でも珍しいそうですが、実は広島県は新潟県に次ぐ国内2位、西日本一の錦鯉の産地であり、錦鯉養殖70年近い歴史を持つ廿日市市佐伯地区には広島県唯一の錦鯉の競り市場「佐伯錦鯉市場」があります。「泳ぐ宝石」とも言われる豪華絢爛な錦鯉の展示を通して、廿日市市の地元産業である養鯉業を広くアピールすることにもつながればと思います。
「はつこい庵」にやってきた2頭のミナミアメリカオットセイ
今年2月21日にこの「はつこい庵」でデビューしたのが、ウルグアイからやってきた2頭のミナミアメリカオットセイ(推定年齢3歳のメスと1歳未満のメス)です。この種のオットセイの公開は中国地方では初めてとなります。2頭の名前は公募で「サクラ」と「カエデ」に決定しました。とてもキュートなオットセイなので、錦鯉や金魚の優雅な姿とあわせて鑑賞いただきたいと思っています。
またコロナ禍にあっては、細心の注意を払いながら、イベントなどを実施しているところです。その一つが春期特別企画展「はつこいものがたり~コイに恋しよ♪~」です。5月8日(日)まで開催します。20品種550点の鯉を展示している他、イベントの一環として家庭で眠っているこいのぼりを寄付していただき、館内外に展示させていただいています。
今後、コロナ禍が落ち着いたら、当館の基本理念である「ふれあい」にもとづき、体験などのイベントを積極的に実施していきたいと思います。「安芸の宮島 嚴島神社」にお越しの際には、ぜひとも宮島水族館にもお立ち寄りください。