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北海道会
独自企画②

2023年02月号

地元野球球団を通して地域に活力を!!
美唄市「美唄ブラックダイヤモンズ」の活躍

かつて「黒いダイヤ」と呼ばれた石炭産業により、国内最大規模の産炭地として栄えてきた美唄市。この地で2019年、野球独立リーグの球団「美唄ブラックダイヤモンズ」が誕生しました。地域密着型の球団は、地域にどのような活力を与えているのでしょうか。美唄市経済部経済観光課商工労働係の丸山 徹氏にその活躍ぶりを伺いました。

 人口約2万人、札幌市と旭川市のほぼ中間にある美唄市は、かつては「黒いダイヤ」と呼ばれた石炭産業で栄えた町です。「美唄ブラックダイヤモンズ」は北海道初の独立リーグ「北海道ベースボールリーグ」に参入するオリジナル球団として2020年に誕生しました。

 球団設立のきっかけとなったのは2019年、富良野市で野球塾を運営する出合 祐太代表から「美唄市で独立リーグの野球チームをつくりませんか」という話を受けたことでした。その後、まずは独立リーグの先進地を視察してみることに。その一つ、四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグスはホームタウンの人口が約3000人と小規模で、地域一丸となった球団を運営されており、その雰囲気にとても惹かれました。そこで美唄市でも市民に応援される市民球団を目指し、廃校となった美唄市立茶志内小学校に茶志内ボールパークを整えるなどして、球団設立の準備を始めました。

 こうして立ち上げた球団の特徴は、なんといっても選手たちが就労しながら野球に励んでいることです。野球とともに選手たちがキャリアを形成する〝ウィズキャリア〟の考え方を重視し、月曜と木曜はフルタイムで仕事をし、火、水、金、土、日はリーグ戦に参加しています。また、選手たちの就職先については地元企業にも協力をお願いしています。仕事内容は球場の管理や障害者施設、ガソリンスタンド、農家やゴルフ場などさまざまで、少子高齢化が進む地域の担い手として地元企業の応援の輪が広がっているところです。

202301_tanikai01_hokkaido_06球団主催の夏祭りを選手たちが後片付け

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小中学生への野球指導

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ロゴマークには宮島沼にやって来る「マガン」をデザイン

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河上 敬也監督と「美唄ブラックダイヤモンズ」の選手たち

 選手たちは清掃活動や雪かき、商店街の花植え、交通安全の啓発活動、小学校の体力テストのサポートやお祭りの神輿担ぎといった地域貢献活動にも精を出してくれています。また、11月から3月にはリーグのオフシーズンを活用して、野球教室「ブラダイベースボールアカデミー」を開催、未就学児から中学生までを対象に、基礎的なバッティングや送球、捕球の動作など地元の子どもたちに現役選手ならではの知識や技術を教えています。

 なお、同球団は2022年から新たに「北海道フロンティアリーグ」の一員となり、日本独立リーグ野球機構に加盟。国内で4番目の独立リーグとして認可され、選手が引退した後に学生野球資格回復研修制度の対象となるなど選手のセカンドキャリアも確保されることになりました。こうして昨年5月からプロの興行としてスタートしたわけですが、入場料1000円のうち500円は美唄市の商品券として使えるようになっており、地域経済の活性化にも一役買っています。

 このように「美唄ブラックダイヤモンズ」の誕生は、交流人口や関係人口の創出、コミュニティの形成、シビックプライドの醸成など地域に大きな活力をもたらしています。今後も地域に愛され、地域を元気にする球団としてますます活躍してくれることを期待してやみません。

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