CHANNEL WEB

四国会企画②

2020年12月号

ドローンで町おこし
「日本一、ドローンが飛ぶ町」を
目指す徳島県那賀町

徳島県那賀町は今から4年ほど前、「まち・ひと・しごと戦略課ドローン推進室」を立ち上げ、ドローンを操縦しやすい環境づくりに町をあげて取り組んでいます。那賀町はどのようにしてドローンに着目し、ドローンの町としての整備を進めてきたのでしょうか。その立役者である(一社)地域おこしドローン社を主宰する喜多 幸治氏にお話しいただきました。

「温泉・ジビエ・ドローン」という那賀町ならではのコラボ

 徳島県南部の高知県との県境にあり、1000m以上の山々に囲まれた那賀町は、人口7279人(2020年8月1日時点)、町の90%が森林という中山間地域です。那賀川や大釜の滝など、豊かな自然に恵まれています。

 私が地域おこし協力隊として赴任したのは15年4月、最初の配属先である四季美谷温泉(コロナ禍により11月29日から休業)では鹿肉ジビエの広報を担当しました。そして、その年の10月に那賀町が徳島県のドローン特区に指定されたことから、「ドローンを活用した町おこしを進め、ドローン交流人口を増やすことで移住・定住につなげていく」ことを目指し、那賀町まち・ひと・しごと戦略課ドローン推進室が発足、私もそのメンバーに加わりました。「温泉・ジビエ・ドローン」をコラボさせるという他地域には見られない那賀町ならではの取り組みに、関係者全員が大いに期待を寄せました。

さまざまな分野で活用広がるドローンの可能性 

 そもそも、ドローンの使用は航空法で制限されており、人口密集地では自由に飛ばせません。しかし、過疎化が進んでいる那賀町であれば、ドローン愛好者の皆さんが自由に飛ばせるのではないかと考え、那賀町はドローン特区への申請を行ったのです。また、豊かな自然に恵まれていることから美しい空撮ポイントが多く、おすすめ飛行スポットを提供することで、ドローン交流人口を増やせるのではないかという狙いもありました。これらの狙いは見事に的中、ドローン特区に認定されたことで、町内で極めて自由にドローンを飛ばせるようになり、多くのドローン愛好者が訪れるようになりました。

那賀町作成の最新版「ド ローンマップVer.3」。お すすめ飛行スポット35 カ所を紹介している

那賀町作成の最新版
「ドローンマップVer.3」。
おすすめ飛行スポット
35カ所を紹介している

 ちなみに、ドローン推進室が発足した15年は日本の「ドローン元年」であり、「第1回国際ドローン展」が開催されて愛好者が増えるとともに、さまざまな産業で活用され始めました。具体的には観光PR用の空撮やスポーツ撮影の他、農業での農薬・肥料散布、作物の生育管理から物流の監視、測量、救援・救護活動、防災訓練、交通インフラやソーラーパネルの点検、災害対策などです。また、林業が盛んな那賀町では鳥獣害対策の他、木を切り倒す際のリードロープ(架線)の展張作業などに活用し、林業の省力化を図っています。さらに、那賀高校森林クリエイト科の生徒を対象にドローン操作講習会や森林測量講座を開いています。

 現在、那賀町では空撮スポット35カ所を紹介した「ドローンマップ」を作成したり、空撮体験、シミュレーションツアーなどを提供したりしています。私自身は協力隊の任期を終えた18年4月に(一社)地域おこしドローン社を起業して、ドローン推進室と協力してドローンマップの刷新や講習会、空撮スポットのガイドなどを行っているところです。こうした取り組みを通じて交流人口を増やし、那賀町の認知度を高めたいと思っています。

「ドローンマップ」印 刷版。今後もおす すめ飛行スポットを 増やしていく予定

「ドローンマップ」印 刷版。今後もおす すめ飛行スポットを 増やしていく予定

那賀町のドローン 空撮写真。地元の 人々にとっても新 たな視点から見る 地元の景色は新鮮だそうだ

那賀町のドローン 空撮写真。地元の 人々にとっても新 たな視点から見る 地元の景色は新鮮だそうだ

おすすめ飛行スポ ットの一つ、徳島 県随一の紅葉ポイ ント「高の瀬峡(こうのせきょう)」

おすすめ飛行スポ ットの一つ、徳島 県随一の紅葉ポイ ント「高の瀬峡(こうのせきょう)」

一般社団法人地域おこしドローン社の喜多代表

一般社団法人地域おこしドローン社の喜多代表

ドローンの基本の動作「ホバリング」(空中で一定の場所に静止 すること)。10月6日は「ドローンの日」に指定されており、各 地で「ドローンフェスティバル」 が開催されている

ドローンの基本の動作「ホバリング」(空中で一定の場所に静止 すること)。10月6日は「ドローンの日」に指定されており、各 地で「ドローンフェスティバル」 が開催されている

▲ ページトップ