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事務所 訪問

2020年12月号

小谷眞由美税理士事務所 写真

決算書分析による経営サポートを徹底
顧問先企業の現在と未来を支え続ける

経営数字をしっかりと分析することで、顧問先企業の成長と発展を支える――。この数十年、そんな経営サポートを実践し続けてきた小谷 眞由美先生。これまでの事務所の歩みやこだわり、そして昨年から次世代を担う人材として加わった娘さんへの想い、展望を伺いました。

税務署勤務中に一般試験で資格を取得し開業

小谷先生は複数の税務署に勤めていたそうですね。まずは、そのあたりから開業に至るまでの経緯について伺いたいと思います。

小谷 眞由美所長(以下、敬称略) 50年ほど前のことになりますが、初の女性職員として7年間、大阪国税局管轄の2つの税務署で働きました。ちょうど国税局・税務署における事務の合理化・効率化のためにコンピューターが導入され、活用が始まったばかりだったので、その対応に追われながらも必死で実務を覚えていきました。

初の女性職員だったということで、何かとご苦労もあったのではないでしょうか。

小谷 税務調査の際などに、経営者との折衝に苦労することもありましたが、持ち前の負けん気で常に毅然とした態度で妥協なく事にあたりました。

地元である高知県に戻ってからは、高知税務署に勤めながら資格学校に通ったそうですね。

小谷 そうです。1990年には税理士登録を果たして税務署を辞め、すぐに個人事務所を開業しました。

広々とし、ゆとりを持ったレイアウトのオフィスです

広々とし、ゆとりを持ったレイアウトのオフィスです

税務署に一定期間以上勤続して資格を取得し、退官後に事務所を開業することは多々ありますが、先生のように一般試験で資格を取得し、独立開業という例は少ないように思います。

小谷 おっしゃる通りです。そもそも女性税理士は高知県内にはあまりいませんでしたし、中途で税務署を辞めて税理士になったのは私くらいのものでした。現場で実務経験をいろいろと積んでこれからという時だったので、独立開業は周囲からも反対されました。ですが、夫と子どもがいたので別の土地に異動になるのを避けたかったですし、また、税務調査などを通じて数多くの経営者とやりとりする中で「もっと税務・会計の意義や役割を意識した経営に徹すれば、末永く事業を伸ばしていけるのに」と、もどかしい思いをすることもありました。そこで、経営者の近くにいて、税務・会計面からその経営をサポートできる税理士になろうと考えたのです。

決算分析による手厚い経営サポート

開業後、どのようにして顧問先を開拓していったのでしょうか。

小谷 どこかの事務所に所属していたわけでもなく、特に縁もなかったので、本当にゼロからのスタートでした。そこで、まずは行政書士の資格を取得してさまざまな申請や手続きの無料サービスを始めたり、社会保険労務士の勉強をしたり、弁護士など他士業のネットワークを広げたりと、とにかく強みをたくさんつくっていきました。税務署時代、法人税や源泉税、間税などの部署で税務の知識を蓄えましたし、平成元年には新たに導入される消費税について何十回も講習会を重ねていたので、そうした経験も生かしながら、幅広いニーズにワンストップで対応できる体制をつくり上げたのです。結果、口コミや紹介でどんどん顧問先が増えていきました。初年度は微々たる収入だったのが、3年目には十分な収入を得ることができるようになりました。

顧問先企業の経営サポートについて、コンセプトやこだわりがあればお聞かせください。

小谷 私は基本的に細かいことを気にしない性格なのですが、こと数字には厳しく、絶対にミスをしたくないですし、常に正確に、正しくありたいと考えています。ですから開業当初から現在に至るまで、一貫して全ての法人顧客の決算関連書類には私自身が目を通してチェックしていますし、決算後には直接、経営者と膝を突き合わせて話すようにしています。まず、企業活動の一番の目的は何といってもしっかりと利益を上げることであり、その結果として払うのが税金だということ、また、企業活動の全ての軌跡が決算に表れるということを改めて伝えます。そして、これまで思うように利益を上げることができたか、そしてこれから先の見込みはどうなのかといったことを過去3年間の決算書から分析し、うまくいっていないのであればその原因や今後の対策、注意点などについてこと細かに経営者に話すわけです。

 現在、法人顧問先の全てに同様の経営サポートを行っているので大変ですが、だからこそ税理士として信頼を得ることができているのだと思います。

長い付き合いの顧問先も多くなっていると思います。近年、どのようなニーズが高まっていますか。

小谷 やはり以前に増して、高齢となった経営者から事業承継の相談を受けることが多いですが、後継者不在で廃業せざるを得ない例も増えてきています。ここ数年だけでも6件そうした話がきました。ちなみにこれまで長く信頼を培ってきた間柄でのことなので、基本的に閉鎖登記や各種書類の作成、廃業の申告などに関しては全て手数料をとらずにサービスで行っています。

事務所の未来を支える次世代を担う人材への想い

今後の展望についてもお聞きしたいと思います。昨年、娘さんが事務所に加わったそうですね。

小谷 彼女は理工学部卒で、いくつかの大企業の研究所などで働いていたのですが、紆余曲折あって事務所を引き継いでくれることになり、働きながら大学院と簿記学校に3年間通ってイチから税務を学んでくれました。卒業と同時に前職を退職、その次の年には無事、試験に合格して税理士資格を取得し、去年3月に事務所に加わったばかりです。もともと理工学部で学んでいたこともあって、数字にはとても強く、また税法もしっかり学んでいるので次世代を担っていく人材としてとても頼もしく思っています。

これまで先生が多くの顧問先に行ってきた経営サポートについてはいかがですか。

顧問先の経営と徹底的に向き合う小谷 眞由美先生

顧問先の経営と徹底的に向き合う小谷 眞由美先生

小谷 税務・会計を分析することによる経営分析は長年の経験の中で培ってきたものであり、すぐに習得することはできません。とはいえ、顧問先に寄り添った経営サポートを実践していくことについては、私と同様のスタンスを引き継いでほしいと思っていますので、これから数年かけて、決算書の意義や役割、分析の仕方などのエッセンスをしっかりと指導していくつもりです。もちろん、行政書士や社労士、弁護士など、これまで私が培ってきた他士業の方々とのネットワークについても引き継いでいきます。あとはひたすら実践あるのみ、頑張ってほしいですね。

最後に、この機会に娘さんに伝えたいこと、期待することをお聞かせいただけますか。

小谷 何より顧問先企業に寄り添える税理士になってほしいですね。日頃から顧問先の経営数字に触れている税理士は、顧問先の成長や苦境、経営内容を最もよく分かっている存在です。だからこそ、常に顧問先の状況を頭に入れて経営上の助言をしたり、時には厳しい指導を行ったりすることが求められています。時間をかけて、身をもってそのことを理解していってもらえればと思います。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

 小谷先生は高校生の時に国家公務員一般職の試験に合格、卒業後に女性職員を募集していた大阪国税局管轄の税務署で働き始めたそうです。幼い頃から海外志向のあった先生はこの時点では「いずれお金を貯めたらこの仕事は辞めてアメリカで暮らそう」と考えていましたが、7年間の勤務を経て地元・高知県に戻った時には税務一筋に。しばらく高知税務署で働きながら資格学校で学び1989年に税理士資格を取得、翌年には税理士として独立開業を果たされました。以来、30年以上の長きにわたり、手厚い経営サポートで数多くの地場企業を支えています。

小谷眞由美税理士事務所

所在地
高知県高知市鳥越24-3
TEL
088-840-8108
設立
1990年
職員数
5名

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