中国会企画
2021年07月号
〝晴れの国おかやま〟のご当地グルメ
桃から生まれた「岡山カレー」が新登場
温暖な気候に恵まれた岡山県は、白桃やマスカットといった特産のフルーツの他、瀬戸内海の海の幸、備前国の時代から受け継がれた郷土料理、ご当地グルメと呼ばれる蒜山焼そばや日生カキオコ、おかやまデミカツ丼、えびめしなどを擁するグルメの宝庫です。そこにこのほど「岡山カレー」という新ジャンルが加わりました。その誕生のいきさつやおいしさの秘密、そしておすすめの観光スポットについて、(公社)岡山県観光連盟の松野 理絵氏にお話しいただきました。
特産の白桃を使った「岡山カレー」でまちおこし
岡山県は中国地方のほぼ中央に位置し、温暖な気候と年間を通して少ない降雨量から「晴れの国」と呼ばれ、豊富な食材に恵まれています。中でもフルーツが有名で、「くだもの王国」と呼ばれるほどです。
このほど、その代表選手である「白桃」を使った新たなご当地グルメが誕生しました。その名も「岡山カレー」。岡山にはグルメの宝庫として多種多様なご当地料理、メニューがありますが、そのラインアップに昨年末からこの「岡山カレー」が加わったのです。
仕掛け人である「OKAYAMAまちおこし隊」は、「岡山をもっと盛り上げたい」という熱意と愛情に満ちあふれた岡山市中心エリアのデパート、ショッピングモール、商店街、企業、団体などによって結成された組織です。そして、その活動の最初のプロジェクトとして「岡山カレー」によるまちおこし企画が発足。岡山の特産品である「白桃」を使った「岡山カレー」を通じて、岡山の魅力を国内外の人に知ってもらおうとしています。
「白桃」のチャツネが味の決め手万人に愛されるご当地カレー
それにしても、なぜカレーなのかと思う方もいるかもしれません。実は岡山県民のカレールウ年間消費量は全国4位、岡山市民の年間カレールウ支出金額は全国3位(総務省家計調査2018年から)と、岡山は〝カレー愛〟が強い土地柄なのです。まちおこし隊はこの点に着目、「岡山を盛り上げる」ためにはまず食でアピールするのが効果的ということで、岡山県民が大好きなカレーに白羽の矢を立てました。
こうして誕生した岡山カレーの特徴は、白桃を煮詰めて作った「チャツネ」を隠し味として使っていることです。チャツネとは、リンゴやマンゴーなどのフルーツや野菜を煮込んで作るソースまたはペースト状のインドの調味料のことですが、岡山の桃農家では自宅で白桃をソースなどにして楽しんでいることから、皮と種を除いた白桃でチャツネを作ってみることに。そして、そのチャツネを使うことを条件とした「岡山カレー」を岡山市内の参画店で売り出すことにしたのです。現在、岡山市内の46店舗の飲食店がそれぞれのオリジナリティを加えた「岡山カレー」を提供しており、味の評判も上々。「スパイシーな辛さに桃のチャツネのほんのりした甘みやコクがプラスされておいしい」といった声が数多く寄せられています。
ちなみに、「岡山カレー」には桃の消費量アップに貢献したいというコンセプトも含まれています。その背景にあるのが規格外の桃の活用です。白桃は贈答品として重用されていますが、その一方で規格外の桃の多くが廃棄されています。SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、桃農家の心情からも、それらをできる限り活用すべきだと考え、規格外の白桃を積極的に活用しているのです。
まだデビューしたばかりのご当地グルメですが、まずは一人でも多くの皆さまにそのおいしさを味わっていただきたいと思います。
岡山城・岡山後楽園を川から望むクルーズ「烏城水遊舟」
「岡山カレー」を味わうのなら、併せて岡山観光も楽しんでいただきたいと思います。市内の観光スポットの目玉は「烏城」と呼ばれる岡山城、そして金沢の兼六園や水戸の偕楽園と並んで日本三名園と称される「岡山後楽園」です。岡山城は天守閣大改修のため、今年6月1日から休館となり、2022年11月にリニューアルオープンする予定です。
そんな2大観光スポットを、岡山市中心部を流れる旭川から眺望できる「おかやま旭川遊覧クルーズ~烏城水遊舟」が今年3月に新たに登場しました。このクルーズでは約30分間、ガイド付きで「まちなかリバークルーズ」を楽しんでいただけます(1時間おきに1日8便の運航)。迫力ある岡山城、広大な岡山後楽園の他、川岸のオシャレなカフェやレストラン、岡山県庁を船上から眺めるのも一興です。岡山後楽園では8月に夜間特別開園として「夏の幻想庭園」が開催されるので、その時期にあわせてクルーズを楽しんでみるのもいいかもしれません。
この他にも、岡山市内には県立博物館や県立美術館、岡山市立オリエント美術館、林原美術館、夢二郷土美術館など見ごたえのある美術館、博物館などが多数あります。こうしたグルメや観光スポットが満載の岡山にぜひとも足を運んでいただきたいと思います。