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顧問先紹介

2020年02月号

株式会社マルエー

石川県南部に現在計26店舗を展開する老舗スーパーマーケット「マルエー」。地域密着と高品質な品揃えへのこだわりや今後の展望について税理士法人 大翔の常山 明夫代表が(株)マルエーの山本 一郎社長にインタビューしました。

石川県初のスーパー

常山 明夫代表(以下、敬称略) 御社とは非常に長い付き合いになりますが、まずはあらためてこれまでの歩みを振り返ってみましょうか。出発点は乾物商ですよね。

山本 一郎社長(以下、敬称略) そうです。1926年に山本甚太郎が創業しました。干物などの海産物や農産物を仕入れ、現在も本社のある鶴来町本町から山間部の地域に卸していたそうです。そして2代目の栄治が事業を引き継ぎ、54年に石川県内初のスーパーマーケット「山本商店」を開きました。栄治は非常に先進的な人物で、アメリカで目にしたスーパーを見様見真似、手探りで地元につくったのです。当時は後のイトーヨーカ堂やダイエー、イオンなどその後幅広く店舗展開していく大手スーパーマーケットチェーンの萌芽が芽吹き始めている時期で、山本商店はまさにそうした店の一つだったといいます。

常山 栄治氏から、当時のエピソードを何かお聞きになっていますか。

山本 初のスーパーということで、周辺住民に浸透するまでにかなり時間がかかった、という話は聞いています。それまで商店といえば相対売りが基本で、お客様自身が店内をまわってカゴに商品を入れていくスタイルは前代未聞でした。慣れてもらうために、カゴにサービスのキャラメルを入れておくなどの工夫をしたそうです。

常山 その後、県南地域に次々と店舗を展開していったわけですが、当初から現在に至るまで一貫したコンセプトはありますか。

山本 代々経営者たちは「いつまでも同じ状況は続かず、店舗形態や販売方法、商品の流行は時代とともに変わる」ということを大前提として、さまざまな試みに挑戦してきましたが、常に一貫しているのは「地域密着と高品質」へのこだわりです。農産物にしても魚介類にしても基本は地場産のもの、優良なものを選んで仕入れています。

スーパーマーケット「マルエー」の概観

スーパーマーケット「マルエー」の概観

お客様の生の声を聞く会「マルエール」の模様

お客様の生の声を聞く会「マルエール」の模様

健康志向の高まりを受け開発した「からだデリ」シリーズ

健康志向の高まりを受け開発した「からだデリ」シリーズ

多種多様な商品開発を実践

常山 時代の変化への対応ということでいうと、日頃からどんな工夫をしていますか。

山本 一番大きいのは、その時々のニーズに寄り添ったプライベートブランド(PB)「スマイルコレクション」の商品開発や仕入れを行うことです。ニーズを捉えるために、消費者の方たちを対象とした「新商品お試しフェア」や女性客数名を呼んでご意見をいただく「マルエール」という会などを開き、生の声を聞く機会を大事にしています。

常山 そうした取り組みによって、PB商品のラインアップは急速に増えていますね。

山本 地場産品にこだわった「ふるさと」、おいしさにこだわった「りくつな」、高品質かつお求めやすい「おねうち」の3種類に分け、年に十数点のペースで新しいものを開発しています。例えば「ふるさと」の牛乳「のんでミルク」は、県内唯一の〝石川県産100%牛乳〟。県内では酪農があまり盛んではないので、時期によっては販売休止になることもありますが、地元のお客様たちに親しまれている商品です。その他では、世帯人数の減少や単身高齢者の増加などを背景にニーズの高まっている惣菜商品を多様化したり、健康や安心安全な食品への関心の高まりに応えるため、全国国立病院管理栄養士協議会監修の「からだデリ」シリーズを展開したりと、独自の商品開発を実践しています。

働き方改革と小型店舗展開

常山 店舗運営の面では、昨今どのような動きがありますか。

山本 あらゆる業界に共通することだと思いますが、人手不足が課題となる中、作業改善や効率化などを細かく行い、働き方改革に取り組んでいます。例えば、年中無休の小売店ではスタッフがローテーションで休日を取るのが当たり前ですが、それだと同じ店の人たち同士での交流の機会をなかなかつくれませんし、休日の予定を立てにくいというデメリットもあります。そこで先日、当社では実験的に1日だけ全店舗を休業としてみました。普段から通っていただいているお客様をはじめとして各所にさまざまな影響が出ることなので、今回の結果を検証した上で、可能な範囲内で働き方改革につながる休業日の設定を模索していきたいと思います。

常山 最後に、今後の展望をお聞かせください。

山本 当社では今、特にミニスーパーと呼ばれる150坪以下の小型店舗の展開に注力しています。県南地域は車社会であり、ロードサイド型の大型店などがにぎわう一方、山間部では車の運転のできない高齢者などが買い物難民になってしまうケースも出てきています。そうした地域に求められているのは、生鮮品や多種多様な惣菜を取り扱う小型店舗です。

常山 まさに「地域密着と高品質」にこだわってきた御社の強みが発揮できるフィールドですね。今後のさらなる発展を期待しています。

店舗では季節ごとのイベントも大事にする

店舗では季節ごとのイベントも大事にする

2019年10月に開催された第10回全国チェッカーフェスティバルで、マルエーの田中美希さんが特別賞(13名)を受賞した時の演技風景

2019年10月に開催された第10回全国チェッカーフェスティバルで、マルエーの田中美希さんが特別賞(13名)を受賞した時の演技風景

今後は小型店舗「マルエーmini」を積極的に展開していく方針

今後は小型店舗「マルエーmini」を積極的に展開していく方針

税理士法人 大翔

所長
常山 明夫
中島 博之
所在地
石川県白山市井口町ロ23-3
TEL
076-272-0500

株式会社マルエー

代表者
山本 一郎
設立
1954年
資本金
4000万円
事業内容
食品スーパーマーケットチェーン、ショッピングセンター開発・管理、惣菜加工センター
所在地
石川県白山市鶴来本町
2丁目ワ26
TEL
076-272-0152

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