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事務所 訪問

2020年02月号

税理士法人 竹長会計 写真

お金は預かりもの」という気持ちで
地域の商工・観光振興に全力投球!!

福井県敦賀市で40年近く中小企業を支援しながら、多角的な事業を展開し続けている税理士法人竹長会計の代表社員、竹長 徹先生。東日本大震災を機に地元の原子力発電所関連の産業が大打撃を受けた後も地域活性化に奮闘し、今はDMO(Destination Management/Marketing Organization)の立ち上げなどに注力されています。

ガラス張りの経営で多角経営を成功に導く

事務所の概要からお聞かせください。

竹長 徹代表社員(以下、敬称略) 当事務所は1981年に開業し、2007年に法人化しました。現在は福井県の敦賀市と若狭町に事務所を構えています。事業展開とともに人材も拡充しており、13年には資産税を得意とする田邉 繁雄先生、19年には所得税を得意とする西尾 泰則先生をお迎えしました。2人とも50歳と47歳とまだまだ若く精力的なので、今後の活躍に大いに期待しています。また、私の2人の娘に関しても、竹長 妙は税理士として、竹長 操は社会保険労務士として活躍してくれています。

法人化にあたってのご苦労はありませんでしたか。

竹長 税理士法人は娘の妙とともに立ち上げましたが、特に難しいことはありませんでした。もちろん、税務会計以外の事業をどのように位置付けるかといったことをあらためて考え直す必要がありましたが。

確かに、竹長先生は税務会計のみならず、さまざまな事業を展開されていますね。

竹長 税理士法人を中心としたTAKENAGAグループとして、生命保険・損害保険を手掛ける(有)たけなが保険企画、建設業に特化した(有)バンブー21、業務一括受託を行う(有)TMC、原子力発電所関連の業務を手掛ける(株)美浜テックなど11の事業体を経営しています。

こうした多角経営を成功に導くポイントは、どういうところにあるのでしょうか。

竹長 一つひとつの事業に関して、しっかりとした経営計画を立てることに尽きます。現在、当グループでは月次決算を徹底している他、毎年、経営改善委員会を開催し、グループ各社の経営計画の策定とブラッシュアップに努めています。11月から12月にかけては経営計画書の策定がグループ全体の主な業務になるほど、力を入れて綿密な計画と数字を出すようにしているのです。

賞与に関しても独自の決め方をしているそうですね。

竹長 賞与に関しては上限と下限だけ決めておき、その範囲の中で職員に希望額を出してもらい、それをベースに私と部門長、そして本人とで話し合い、最終的な金額を決定していきます。そうすることで、職員一人ひとりに自分の努力をアピールしてもらうとともに、私たちの思いを伝るようにしています。

 また、こうした経営計画や賞与に関する情報を全て共有しているというのも、当グループの特徴です。むろん、その共有情報の中には私自身のものも含まれています。そうすることで、私もよりしっかりしなければならないという気持ちになりますし、何か問題点があっても職員がすぐに指摘してくれますから。

職員教育に関してはどのような工夫を凝らしていますか。

竹長 入社1年目の職員も特別扱いせずに接しています。例えば、農地転用などの専門性を求められる業務に関しても、新人に担当させたりします。もちろん、上司が陰からフォローするわけですが、基本的には自分で調べて考えてもらうようにしています。何よりも主体的に取り組むことが最大の学びになりますしね。

写真1

受付のある1階の執務室

写真2

広々とした2階の執務室

原発停止の逆風に耐え業績を着実に伸ばす

2011年の東日本大震災、福島第一原子力発電所事故の影響で、若狭湾の多くの原子力発電所が稼働停止となりました。原子力発電所関連の顧問先も打撃を受けたことから、竹長会計グループにも影響があったかと思います。そのあたりについてはいかがでしょうか。

竹長 原子力発電所関連の顧問先が窮地に陥っただけでなく、原子力発電所で働く人たちが一斉にいなくなってしまったため、地域全体の景気が落ち込んでしまいました。ですが、当グループの収支に関しては、多角経営を推進していたこと、相続需要が盛り上がってきたことなどが功を奏し、前年比99・6%に止めることができました。それから14年頃までは我慢の時期が続きましたが、それ以降の売り上げは増加傾向にあり、19年に関しては前年比108%を達成することができました。しかし、地域の景気は依然として回復していません。特に建設業や飲食業はまだまだ立ち直れていない状況です。

そうした状況にあって、17年には事務所の建物を新築されたそうですね。

竹長 前の事務所が手狭になってきたこともあり、地域の商工振興の拠点とすべく、新たに今の事務所を建てました。新事務所では、個別の相談をより広く受け付けられるように入ってすぐのところに相談スペースを設けた他、別途、面談用の個室を5つ設けました。さらに3階には広めのセミナールームを設け、これまでに20回近くセミナーを開催してきました。また、毎月第2・第4日曜には税に関する無料相談会を催しており、こちらも徐々に地域に浸透してきた印象があります。

最近はどのような相談が増えていますか。

竹長 やはり地域住民の高齢化に伴い、相続に関する相談が増えています。しかも、無料相談会などのおかげもあって、全体の3分の2程度が顧問先以外の新規の相談となっています。また、娘の妙が福井県よろず支援拠点のコーディネーターに認定されていることもあり、その活動の延長でご依頼を頂戴することも増えています。

写真3

事務所経営のみならず、地域振興にも積極的に取り組まれて
いる竹長 徹先生

地域一丸となってDMOによる観光振興に挑戦

地域貢献活動にも積極的に取り組まれていますね。

竹長 2015年には生まれ故郷であり、現在の居住地でもある福井県美浜町の美浜町商工振興会の理事長に就任しました。その間、地元の観光資源である三方五湖の遊覧船事業などに取り組み、黒字化に成功したのですが、私が退任してからその状況は再び悪化してしまいました。そこで、あらためて地域全体で観光振興を展開していかなければならないと考え、現在は自治体や商工関係者と連携しながら、美浜町商工振興会理事長として三方五湖DMO(仮称)の立ち上げに尽力しているところです。2022年度に開業予定の北陸新幹線敦賀延伸に合わせて、三方五湖の遊覧船をソーラーエネルギーで運航するようにしたり、グランピング※を推進したりと、民間企業や金融機関と協力しながらさまざまな事業に取り組んでいきたいと考えています。また、DMOで社債を発行することも検討中です。地域住民にこの社債を購入してもらうことで、ステークホルダーとしてこれらの事業に積極的に関わってもらえればと思っています。

どのような思いでこういった取り組みを手掛けているのですか。

竹長 常に職員に伝えているのは「私たちが得たお金は預かりものである」ということです。収益は地域や顧問先との関係から得たものなのだから、地域に還元できるようなビジネスをしなければならないと考えていますし、それを徹底することが私たちにとっても地域にとってもプラスに働くと考えているのです。この考えは私たちの事業の根底にあるものですし、この考えがあるからこそブレることなくさまざまな事業に取り組むことができているのです。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

 母上の実家がご商売を営んでいたこともあって、高校生の頃から税理士という仕事を知っていたという竹長先生。ですが、高校時代はラグビーに没頭しており、大学進学も考えていなかったといいます。「決して裕福な家庭ではなかったし、大学には兄が行くから自分は高校卒業後、すぐに働こうと思っていました」と振り返ります。ところが、兄上が大学1年生のときにワンダーフォーゲル部の活動中にお亡くなりになり、状況は一変。父上の勧めもあり、卒業後に地元に戻ることを条件に、竹長先生は愛知学院大学に進学することに。そして、入学後にふと税理士という仕事を思い出し、簿記論を勉強してみたところ3年生のときに試験に合格。これを機に税理士試験の勉強に本腰を入れるようになり、大学院に進学してさらに勉学に励むように。最終的に大学院卒業後の1980年、28歳のときに税理士試験に合格、翌年、税理士事務所を開業しました。

税理士法人 竹長会計

所在地
福井県敦賀市中央町1-8-33
TEL
0770-24-0855
設立
2007年(事務所設立は1981年)
職員数
23名
URL
https://takenaga.jp

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