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事務所 訪問

2018年07月号

税理士法人若葉 写真

父子2代で税務会計業務監査業務に奔走
時代の変化に素早く対応し顧問先を支える

医業支援や自治体・大学の外部監査など、多彩な業務を手掛ける税理士法人若葉。 時代の流れを見据えた支援内容が地域で定評を得ています。代表社員の遠藤 政勝先生とそのご子息、 公認会計士・税理士の遠藤 健太郎先生に、事務所のこれまでと今後の展望について伺いました。

創業40年以上の歴史の中で医業支援などの強みを構築

税理士法人若葉には40年以上の歴史があり、地元の中小規模事業者から上場企業まで数多くの顧客を支えています。設立当初の状況とその当時に掲げていたモットーについてお聞かせいただけますか。

遠藤 政勝代表社員(以下、政勝先生) 1976年に妻と二人、自宅で開業したのが税理士法人若葉の出発点です。当初の顧問先は友人たち数名でした。特別な目標やコンセプトなどを掲げることはありませんでしたが、何より「親しみやすい存在」としてあらゆる相談に応じられる事務所であろうと心掛けました。現在もその考えはまったく変わっておりません。また、顧問先の大多数は小規模事業者で、目先の仕事に追われて、「将来を見据えた経営」というところまで視野を広げられずにいるケースも多いので、私たちが先回りしてさまざまな業界の動向や制度改正などに対応するよう心掛けています。

事務所の強みでもある医業支援は、まさにそういった取り組みの一つだと思います。医療業界にアプローチしたきっかけは何だったのでしょうか。

政勝先生 1985年の医療法改正で、いわゆる「一人医師医療法人」の設立が可能になったことがきっかけでした。50年に創設された医療法人制度においては、当初は医療法人の要件は「病院又は医師若しくは歯科医師が常時三人以上勤務する診療所を開設しようとする社団又は財団」でしたが、これが改正され、医師や歯科医師が常時一人勤務する診療所でも、法人設立できるようになりました。現在でこそ個人開業医の法人化は当たり前で、医療法人全体の8割をこのいわゆる「一人医師医療法人」が占めていますが、制度開始間もない当時、会計事務所業界では慎重論が多数を占めていました。というのは、いったん医療法人となれば、安易にこれを解散してはならず、税務上のデメリットや体制変更にかかるコストも大きかったからです。が、私は制度内容をみればみるほど「これはぜひやるべきだ」と確信し、率先して制度利用の支援に力を入れました。

顧問先にはどのように声をかけていったのですか。

政勝先生 診療所の経営と医師個人の家計を明確に分離することで、診療所の経営基盤を強化できること、そして法人化によって診療所が医療機関として社会的信用を確立できること、といったメリットをまずは友人・知人の個人開業医に伝え、「一人医師医療法人」設立を持ちかけました。その結果、「一人医師医療法人」の福島県第1号を当事務所の支援で出すことができ、その後2、3件と事例が増えるうちに評判が口コミで伝わり、結果として医療業界の顧客がどんどん増えていきました。おかげさまで、今も医療関係の顧問先はたくさんいます。ですが一方で、医師の方々は診療に大幅な時間を費やし、マネジメントにまでなかなか手が回らない場合があるので、そこをしっかりサポートするよう心掛けています。もちろん、関連制度の改正にも随時こまめに対応してきました。

事業再生に尽力する他自治体などの外部監査にも注力

ご子息の健太郎先生は、15年ほど前に次期後継者として事務所に加わったそうですね。そのあたりの経緯を教えていただけますか。

遠藤 健太郎先生(以下、健太郎先生) 私は大学卒業後、監査法人と一般企業勤務を経験した上で税理士法人若葉に入りました。それ以来、公認会計士として事業再生にはずっと力を入れてきました。特に10年ほど前、東京に顧客が増えてきたため赤坂見附に東京事務所を設立し、監査法人時代の同僚である杉山 七美(公認会計士・税理士・認定事業再生士)が所長となってからは、彼女と連携して多くの事業再生案件を手掛けました。その後は国の中小企業金融円滑化法や信用保証協会・地域金融機関・商工会議所などから成る中小企業支援ネットワークによる経営改善支援、地域経済活性化支援機構(企業再生支援機構を改組)による事業再生支援、企業再生ファンドへの出資など、法的枠組みや総合的な対策が整ってきたこともあって、事業再生に携わる案件は徐々に減っていきました。

監査法人時代の経験も、現在の仕事に大いに生かされているそうですね。

健太郎先生 地方公共団体外部監査制度の下、この3年間は郡山市の役所に頻繁に出入りし、外部専門家として監査していました。その他、県内の大学の監査なども数多く引き受けています。こうした公的な案件を受注することができているのは、監査法人時代の経験の賜物と言えるかもしれません。

写真1

移転してまもない新しいオフィス

写真2

右)事業承継税制を積極的に提案していくご意向の遠藤 政勝先生 (左)「これからは監査業務の幅も広げていきたい」と話す遠藤 健太郎先生

事業承継税制の要件緩和にも素早く対応

最近、顧問先からはどのような相談案件が多いのでしょうか。

政勝先生 相続や事業承継に関する相談がここ数年増えています。今回の税制改正で「事業承継税制」の要件が大幅に緩和されたことで状況が大きく変わったので、これを活用した支援にこれから注力しようと考えています。「次世代に事業をバトンタッチする中小企業に対し、相続税や贈与税を大幅減免する」という主旨で09年の税制改正で設けられたのが事業承継制度です。当初は条件が厳しく利用者は少なかったのですが、今回の改正で株式にかかる贈与税や相続税が100%免除されることになり、注目度が高まっているのは皆様ご存知のことかと思います。現在、私どもはこの制度改正に素早く対応し、事業承継が課題となっている顧客に向けて積極的に制度利用を呼び掛けているところです。

「一人医師医療法人」がスタートした時と同様、業界でいち早く動くことを大事にしているのですね。

政勝先生 その通りです。従来、事業承継というと大手の会計事務所が担う複雑で専門的な案件というイメージもあり、報酬が高額になるケースが多くありました。しかし、今回の改正でスキームがシンプルになり、あまり手間をかけなくても対応できる分、コストを抑えられるようになりました。そうした中、顧問先から事業承継支援業務に関する相談をされた際、大手会計事務所からも提案を受けているところにはより最適な報酬での提案ができるため、私どものような規模の事務所にとっては今後大きなビジネスチャンスとなる可能性があります。  事業承継を前向きに検討している企業というのは、事業規模・内容が良好であるところが多く、そういった優良企業には地域経済活性化のためにもスムーズに事業承継してほしいので、事前対策を積極的に働きかけ、しっかりと支援していきたいと思います。

適正なコストでシンプルにサポートする姿勢も、当初掲げた「親しみやすい事務所」というコンセプトに通じますね。最後に今後の展望をそれぞれお聞かせください。

健太郎先生 これまで通り親しみやすい事務所として地域の多数の事業者の経営をサポートしていく傍ら、私個人の公認会計士としての監査の仕事の幅も広げたいと思います。大学などの学校法人や自治体のほか、近年の医療法改正や社会福祉法改正で、一定規模以上の社会医療法人、社会福祉法人への外部監査が義務化され、経営の健全化や透明化がより重視されることになりましたので、そのあたりにも対応していきます。事務所全体の業務との2本立ては大変ですが、父が築いてきたこの事務所を支えていきたいと思います。

政勝先生 「一人医師医療法人」制度のスタート時や昨今の事業承継制度の要件緩和などに素早く対応してきたように、今後も時代の流れを常にしっかりと注視し、新たな動きを捉えていきたいと思います。たとえば昨今、AIやRPA(Robotic Process Automation)導入による省力化・効率化や生産性向上がさまざまな分野で進んでいます。会計事務所業界もその例外ではありません。現状ではまだAIが担えるのは単純作業のレベルにとどまっていますが、まず記帳から始まって、いずれは税法判断まで担えるようになってくる可能性もあります。その流れにどのように、どういったタイミングで乗っていくか。注意深く動向を探りたいと思います。そしてもちろん、AIでは決して担うことのできない「親しみやすさ」を、これからも守り続けていきます。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士・会計士までのあゆみ

遠藤 政勝先生

大学を卒業し、地元の一般企業に就職、その後、東京に転勤となったという政勝先生。そして3年後に母上が他界されたのを機に帰郷、かねてよりの目標であった税理士としての起業を目指し、地元の会計事務所に勤務する傍ら資格取得のための勉学に励まれたといいます。35歳の時に税理士資格を取得し、翌年には自宅で開業を果たされました。

遠藤 健太郎先生

高校3年生の時に政勝先生と将来について話し合いの場を持たれ「事務所の後を継ぐ意思があるなら応援する」と伝えられたという健太郎先生。この言葉で、健太郎先生は後継者としての覚悟を固めました。以来、大学に通いながら公認会計士を目指して勉強を続け、1991年に公認会計士の資格を取得。一般企業と監査法人を経て、今から15年ほど前に事務所に加わりました。

税理士法人若葉

所在地
福島県郡山市若葉町3-25
TEL
024-991-5888
FAX
024-922-3509
職員数
26名
URL
http://www.wakabakk.jp

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