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事務所 訪問

2018年09月号

クラージュ総合会計事務所 写真

理念経営や業務改善で窮地から脱却
顧問先と真摯に向き合い、共に成長し続ける

大阪市の一等地に事務所を構えるクラージュ総合会計事務所。所長の長谷川 治雄先生は 一般企業での勤務経験などを経て税理士となり、現在の事務所を構えてからは真摯に顧問先と向き合い続けています。 早速、長谷川先生にこれまでの歩みと現在の取り組みについて伺いました。

一般企業の経理部門を経て地元で事務所を開業

長谷川先生は税理士試験に合格される前に一般企業で勤務された経験があるそうですね。

長谷川 治雄所長(以下、敬称略) 大学卒業後、会計事務所で働き始めたところ、税務会計業務の面白さに夢中になり、毎日終電になるまで働いていました。しかし、それではいつまで経っても税理士試験の勉強ができないと思い、一般企業の経理部門に就職し、そこで勉強に力を入れてみようと考えたのです。

実際に一般企業で働いてみていかがでしたか。

長谷川 入社半年くらい経過したときに経理課長が急逝してしまい、私が会社の経理や財務を全般的に担当することになりました。また、当時の社長が魅力的だったこともあり、結局、勉強そっちのけで8年間も仕事に打ち込んでしまいました。とはいえ、その社長からは会社の経営、金融機関との付き合い方、会計部門のあり方、会計責任者としての立ち振る舞いまで、みっちりと叩き込んでもらったので、その後の仕事にも大いに役立てることができました。

どういったタイミングで再び税理士を目指すようになったのですか。

長谷川 社長が代替わりをするタイミングで退職させていただき、それから1年半ほど勉強に励んで試験に合格しました。

開業当初の状況についてお聞かせください。

長谷川 出身地である大阪府茨木市で開業しましたが、ゼロからのスタートだったので、当初は専門学校で講師のアルバイトをするなどして生計を立てていました。ただ、しばらくすると友人や知人、さらには顧問先からの紹介で徐々に税理士として自立できるようになっていきました。しかし、そうはいっても当時は食べていくのに精一杯で、経営理念などは特に掲げていませんでした。

顧問先と真摯に向き合うためにさまざまな業務改善を実施

いつ頃から経営理念を持つようになったのでしょうか。

長谷川 茨木市を出て、大阪市(西中島)で友人たちと一緒に合同事務所を経営していたのですが、そこから離れる際に自分なりに経営理念に思いを巡らせるようになりました。今から20年ほど前のことです。

どのような経営理念を掲げたのでしょうか。

長谷川 税務会計のみならず、多彩な経営支援で顧問先と向き合い、共に成長することをモットーにしました。実務のことだけを考えると、顧問先が赤字であれば、法人税申告などの業務負担が減るわけですが、それでは顧問先はおろか、自分たちを高めることはできません。時には顧問先に苦言を呈することもいとわず、真摯に向き合っていくことが大切だと考えるようになったのです。

事務所名に冠している「クラージュ」にはどのような意味があるのですか。

長谷川 クラージュは「勇気」や「気持ち」といった意味を持つフランス語です。人生においても、仕事においても、心と気持ちを大切に勇気を持ってなせばきっと良い結果が得られるという思いから、この言葉を事務所名に冠しました。一緒に経営していた税理士と別れ、経営的にも精神的にも苦しいときに、一緒に再出発する社員たちと決めました。

それから数年して事務所を現在の場所に移転されたそうですね。

長谷川 はい。当時は顧問先や職員が減り、経営面ではかなり厳しい状況でした。そんな折、勉強会で知り合った経営者が関連会社をこのビルに設けることになり、私もその流れで一緒に来ないかと誘ってもらえたのです。今から16年ほど前のことですが、それから不思議と良い流れが出てきました。顧問先が次から次に新規を紹介してくれるようになり、経営が安定していったのです。

それに伴い、仕事のやり方も変えていったそうですね。

長谷川 一例として、顧問先と経営や事業のことを話し合う機会を増やすようにしました。その際に特に注意しているのが、顧問先の製品・サービス、さらには業界のことを詳細に傾聴することです。それが経営者の考えの整理や問題点の把握の一助になることもありますし、経営者の人生観、人間性などの気持ちを理解する助けになります。もちろん、私たち自身が顧問先の業界や立場を詳しく知ることで、新たな支援の方法やアイデアを提供できるようになるというメリットもあります。

そういった話をする際は、できるだけ顧問先に来所してもらうようにしているそうですね。

長谷川 事務所を移転してからは、顧問先に当事務所まで来てもらうようにしました。最初のうちは面倒だと言う方もいましたが、事務所であれば税務会計に関する一連の資料やデータをすぐに引っぱり出せるので、結果的に便利だし、気分を変えて話に集中できることに気付いていただき、今ではほとんどの顧問先が来所してくれています。もちろん、来所時にじっくりと話し合えるように、事務所の応接スペースはかなり余裕を持たせたつくりにしています。

顧問先1件に2名の担当者を付けるようにしているそうですが、その意図について教えてください。

長谷川 これは現在も重要な努力目標です。なかなか考えるような形にはなっていません。一人で担当していると、悩みや課題などを抱え込んでしまい、対応が後手に回ってしまうことがありますが、二人であれば気軽に相談し合うことができ、早めに解決策を講じることができます。もちろん、業務に関しても自然とダブルチェックを行うことができるなどの利点があります。さらにこれからの税理士の業務は、チームワークで取り組まなければならないと感じています。

ご自身で直接、顧問先に電話をかけないことにもこだわっているそうですね。

長谷川 私が自分で顧問先に電話をかけてしまうと、私が誰とどんなことを話したかがブラックボックス化してしまう恐れがあります。ですが、担当者を介して電話をかけたり、受けたりしていれば、少なくとも担当者はそのあたりの情報を共有することができるわけです。ちなみに、この手法はある弁護士さんから教えてもらったのですが、当事務所でも効果的に機能しているように思います。また、担当者の存在を経営者に印象付けることになります。結果、私に直接電話が掛かることが少なくなります。それは担当者が信頼されているということの表れです。

過去の積み上げを尊重しつつ徐々に変化していく承継を助言

顧問先の業種はどのようになっていますか。

長谷川 業種は多岐にわたっていますが、最近の傾向では介護・福祉関連の事業者が増えているように思います。ただその一方で、飲食店の顧問先はほとんど抱えていません。

顧問先からはどのような相談が増えていますか。

長谷川 ここ最近多いのは事業承継に関する相談です。これまでに多くの事業承継を見てきましたが、先代と後継者が互いの素晴らしさを理解しようとしないケースでは、事業承継がなかなかうまく進まないように思います。こういうケースは特に親子の場合に生じやすいのですが、互いの悪いところにばかり目がいってしまい、後継者がとにかく何でも改革しようとしてしまうのです。そうではなく、冷静に時流に合うところとそうでないところを分析し、事業承継をしていかなければ、せっかく先代たちが積み上げてきたものが台無しになってしまいます。ですから、顧問先がそのような状況に陥っているときには、後継者にまずは先代と同じことをやってみて、それができた上で改革・改善に取り組むようにアドバイスしています。

相続に関する問い合わせはいかがでしょうか。

長谷川 弁護士事務所経由で舞い込んでくるケースが増えています。実際、相続税の申告は以前は年に2件ほどでしたが、最近は5、6件になっています。相談ベースのものも増えているので、これからはさらに対応できる体制を整えていく必要があると感じています。

職員教育に関して注力されていることがあればお聞かせください。

長谷川 とにかく顧問先と真摯に向き合うことを意識づけるようにしています。例えば決算内容の説明などを行う際、顧問先がまだきちんと把握できていないのに、ついつい先走って説明してしまう様子を目の当たりにすることがあります。そうではなく、本来は顧問先の顔を見て、きちんと理解できているかを確認しながら先に進めていくべきなので、その都度、注意を促すようにしています。細かいことのように思われるかもしれませんが、そういったことの積み重ねが顧問先と真摯に向き合うことにつながると思うのです。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

写真1

低めのパーテーションで程よく仕切られ、職員一人ひとりにゆったりとスペースが設けられているオフィス

写真2

一丸となり顧問先を支援する皆さん(前列中央が長谷川 治雄先生)

税理士までのあゆみ

大学時代は「サラリーマンになりたくない」と思っていたという長谷川先生。ある日、友人の下宿で進路について話し合っていたところ、税理士というアイデアが浮上し、直感的にその道を歩んでみることにしたそうです。大学での専攻は法学部であり、税務会計はもちろん、簿記の知識もほとんどありませんでしたが、税理士業界の合同就職イベントを経て兵庫県尼崎市の税理士事務所に就職することに。その後、一般企業の経理部門に転職。それから8年間、一般企業での実務に専念した後に改めて税理士試験の勉強に打ち込み、1992年に税理士試験に合格し、大阪府茨木市に事務所を開業したそうです。

クラージュ総合会計事務所

所在地
大阪府大阪市中央区本町2-3-6 本町ビジネスビル505
TEL
06-4705-0011
FAX
06-4705-0021
設立
1992年
職員数
10名
URL
http://www.courage.gr.jp

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