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事務所 訪問

2019年04月号

税理士法人 山田会計 写真

研修による意識改革や若手採用で
老舗会計事務所の気風を刷新

戦後間もない頃に創業し、70年以上地域に根差してきた歴史を持つ税理士法人 山田会計。代表社員の山田 ?司先生は現在も「地域の事業者のかかりつけ医」としてきめ細かな顧問先支援を行うかたわら、関東信越ミロク会計人会 埼玉地区会の会長としてエリア全体の税理士同士の連携強化にも尽力されています。早速、その仕事ぶりを拝見してみましょう。

歴史ある事務所を引き継ぎ意識改革に注力

山田会計は個人事務所の時代から数えると創業70年以上の歴史ある事務所だそうですね。山田先生が入所、そして事業承継された経緯をお聞かせください。

山田 ?司代表社員(以下、敬称略) 私は子どもの頃から、専門知識を駆使して世のため人のため働く弁護士などの士業に憧れていました。高校生のときに出会った教師の影響で大学では教育学部に入り、大学卒業後は日本語学校などで非常勤講師を務めていたのですが、次第に士業への憧れが募り、税理士を目指すことにしました。そして、講師のかたわら簿記などの勉強に励み、3年がかりで税理士の資格を取得しました。幸い、日本語学校で知り合って結婚した女性の実家が会計事務所を経営していたため、資格取得と同時にそこに入所することができました。以後、事務所の職員や青年税理士連盟の研修などを通じて着実に実務を覚えていきました。戦後間もない頃に創業した古い事務所で、後継者不在が課題だったので、お互いにとって願ってもないご縁だったと思います。

その後、2002年に事務所を引き継ぎ、その2年後には法人化を果たされました。承継はスムーズに行えたのでしょうか。

山田 旧態依然とした状況を打開することに何より苦労しました。歴史ある事務所なので古くからの顧問先が多く安定して仕事が入ってくる強みがある一方、そうした従来の業務にあぐらをかいてしまっている面があったのです。時代が移り変わっても顧問料なども一切見直さず、新規顧問先開拓にも消極的で、将来を見据えると非常に心配でした。そこで、私は事業承継に先立って1998年頃から、所長代理のような立ち位置で事務所の意識改革、業務改革に乗り出しました。
 ところが、これが大変な道のりでした。例えば、業務効率化のためにMJSのシステムを導入したのですが、職員たちは会計科目の変化などを面倒がって旧システムを使っていました。メリットを理解して新システムを使い始めてくれたのは、代替わりする頃からです。今では毎週1回、9時から9時半にかけて外部講師等を呼んで行っている朝研修も、当初は「何の役にも立たない」「その時間を使って顧問先訪問したほうが有益だ」となかなか浸透しませんでしたが、とにかく「従来のやり方にあぐらをかくのではなく、お客様のニーズにいかに応えるかを常に考えよう」と伝えつづけ、粘り強く意識改革に努めました。

意識改革はいつ頃からうまくいき始めたのでしょうか。

山田 08年から約3年間、埼玉経営品質協議会の研修に参加した頃から状況が大きく変わりました。事務所の経営理念を明確にし、職員一人ひとりが研修を通して顧問先満足度向上や新規顧問先開拓についてしっかり考えるようになっていったのです。

新しい人材も多数加わったそうですね。

山田 青年税理士連盟が資格取得者のために開催する合格祝賀会の場などで声をかけ、新しい人材を採用していきました。事業承継時は私も含めて7名でしたが、現在は12名、先代からのスタッフは全員入れ替わっています。

若手を加えるには魅力的な職場環境を整える必要もあったと思いますが、そのあたりはいかがですか。

山田 自分が働きたいと思える環境、待遇を常に心がけてきました。特に心がけているのが、研修サポートや福利厚生を充実させることです。例えば税理士会やミロク会計人会の研修案内は職員全員で共有し、参加希望を募っています。もちろん、研修にかかる費用は昼食や交通費も含めて全て事務所持ちで、パートさんにも時給をつけて研修に行ってもらっています。また、納涼会や忘年会などアフター5のイベントも、職員には毎回17時半から終了まで時間外手当をつけ、パートさんには割増しの時給をつけて参加してもらっています。その他、毎年クリスマスにはケーキを全員に持って帰ってもらったり、ボジョレー・ヌーボー解禁日にはワインを1本プレゼントしたり、毎朝好きなヤクルトを飲んでもらったりと、日常的にさまざまな工夫をしています。

税務の枠を超えた無料相談やセミナー講師としての活動

現在の事務所の強みをお聞かせください。

山田 先ほど旧態依然とした体制からの脱却について触れましたが、長い歴史を誇る事務所ならではの強みももちろんあります。長い間付き合いのある馴染みの顧問先は距離感が近く、税務だけでなく経営面でのあらゆる課題について気軽に相談してくださるので、私たちはきめ細かく相手に寄り添った対応を得意としてきました。いわば地域の中小事業者や個人商店にとってのかかりつけ医のような存在です。また、広範な相談内容に応えるために、弁護士や社労士、司法書士など専門家のネットワークも、長年かけて培ってきました。こちらが顧問先に士業を紹介・斡旋できるだけでなく、司法書士や弁護士からも新規の顧問先や仕事を紹介してもらえる良い関係になっています。

本業のかたわら、生命保険会社の保険相談窓口で税務に関する無料相談も担当されているそうですね。

山田 かれこれ20年以上、さいたま市の大宮にある保険相談窓口に月1回立ち、1コマ30分で大勢の方からの相談にお応えしてきました。

どのような相談が多いですか。

山田 遺産相続や離婚、労使関係など相談内容は実に多種多様です。こうした問題については最初は弁護士や社労士などに相談するのが一般的と思われるかもしれませんが、税務関係のことを切り離して考えることはできません。かといって相談窓口が複数に分かれるのも非効率です。そこで私は税理士の立場から、相談を受けたその場で必要に応じて知り合いの士業の方に電話で連絡し、確認を取りながら話を進めるようにしています。このスタイルが好評で窓口にはリピーターも多く、税務相談がきっかけとなって生命保険の契約につながったケースも多々あります。

各種セミナー講師としてもご活躍されていると伺いました。

山田 セミナーはまさに教師時代の経験を生かす絶好の機会であり、講義をするのは昔から得意です。毎年恒例の確定申告セミナーや法改正に際してのセミナーの他、生前贈与や相続、事業承継などさまざまなテーマで講演の依頼を受けています。

写真1

事務所のイメージカラーであるライトグリーンが随所に配された オフィス

埼玉地区会の会長としてミロク会計人会の会務運営にも尽力

「地域の事業者のかかりつけ医」として顧問先支援に尽力されている山田 祐司先生

「地域の事業者のかかりつけ医」
として顧問先支援に尽力されている
山田 ?司先生

山田先生は関東信越ミロク会計人会埼玉地区会の会長も務めておられます。会務運営において心掛けていることなどをお聞かせください。

山田 4年半ほど前から埼玉地区会の会長を務めており、現在3期目です。最も重視しているのは、地区の税理士同士の交流や情報交換の機会をなるべく多く設けること。税制改正に伴う実務上の変化や課題については随時そうした場で情報を共有できるように努め、税務調査など他にあまりないテーマでの研修にも力を入れるようにしています。また、所長だけでなく各事務所の職員にも積極的にセミナー参加を呼び掛けているほか、研修の場も大宮だけでなく、熊谷や川越、春日部など幅広く設定するよう心掛けています。

最後に今後の展望をお聞かせください。

山田 昨今、少子高齢化を背景に中小企業や小規模事業者における事業承継ニーズが高まっており、AIの台頭などで税務業界にもさまざまな変化が予想されるなか、これまで以上に税理士同士の連携や情報共有が重要になってきています。今後は埼玉地区の先生方にミロク会計人会の会員になることのメリットをより積極的に伝えて、会員拡大を図っていきます。また、私の代になってから新しい人材を多数採用してきたとはいえ、時を経て当事務所の年齢層も上がってきています。30代が3人、40代が1人いる他は私と同じ50代がほとんどです。あらためて若手採用に注力していきたいと思います。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします

税理士までのあゆみ

山田先生は中学生の頃から社会科(公民)の授業が好きで、憲法前文を暗記するなど法律にも強い関心を抱き、将来は士業に憧れていたそうです。が、高校時代に尊敬する教師との素晴らしい出会いがあり、その恩師の影響で大学では教育学部へ。卒業後は日本語学校などで非常勤講師として働きました。そんなある日、高校時代の仲間と会って話しているうちにあらためてかつての思いが蘇り、働きながら税理士資格の取得目指して勉強することに。3年後、1993年に資格を取得し、結婚相手の父が経営する会計事務所に入所、2002年に後を引き継ぎました。そしてその2年後には法人化を果たされました。

税理士法人 山田会計

所在地
埼玉県さいたま市大宮区高鼻町2-62-2
TEL
048-644-1212
設立
2004年(法人設立)
職員数
12名
URL
https://www.yamada-kaikei.jp/

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